長崎市議会 2008-06-30
2008-06-30 長崎市:平成20年世界遺産推進特別委員会 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 =開会 午前10時00分=
前田哲也委員長 出席委員は半数以上であります。
ただいまから、
世界遺産推進特別委員会を開会いたします。
なお、平戸委員より本日の委員会は欠席するとの届け出があっておりますので、ご了承ください。
〔調査順序について協議を行った結果、「世界
遺産登録に向けた取り組みについて(
構成資産
の保全等)」と決定した。〕
2
前田哲也委員長 最初に
資料の確認をさせていただきます。
委員の皆様には、本日の委員会
資料としまして、企画部、
文化観光部、
都市計画部の3部が作成しました
世界遺産推進特別委員会資料と東山手・
南山手地区景観形成地区の地図、
国土交通省が作成しました「景観法の概要」及び文化庁が作成しました「
文化的景観の保護制度」の4種類を配付させていただいておりましたが、それぞれお手元にございますか。
〔
資料の確認〕
3
前田哲也委員長 また、5月8日と26日の現地調査の際に各委員と
外海地区の
地元関係者から出されました意見要望をまとめた1枚ものの
資料を机の上に配付させていただいております。これにつきましては、早急に対応できないものもありますので、今後、当委員会において調査を進めていく中で理事者の対応を求めていきたいと考えております。
また、最終的には本委員会の取りまとめにおいても取り入れさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。本日は委員の皆様への整理確認ということで配付させていただきました。
それでは調査に入ります。
世界遺産登録に向けた取り組みについて、今回は
構成資産の保全等についてですが、理事者の説明を求めます。
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島崎世界遺産推進室長 それでは、本日議題となっております
世界遺産登録に向けた取り組みについて、
構成資産の保全等の内容につきまして、提出しております
資料に沿ってご説明させていただきます。
世界遺産推進特別委員会資料の1ページをお開きください。
5月8日の
特別委員会におきまして、
世界遺産の現状と登録に向けた課題についてご説明したところでございますが、1.
世界遺産への登録のための課題としましては、まず1点目としまして、顕著な
普遍的価値の証明がございます。これは
世界遺産と認められるような価値を証明することでございますが、長崎の教会群と
キリスト教関連遺産が持つコンセプトをより明確化させること、そのストーリーを構成する教会などの資産について追加などするものがないかどうか、精査をすることでございます。
2点目といたしましては、万全の
保護措置がございます。これは
構成資産の
文化財保護法による保護や、その周辺への
バッファゾーンの設定など、
構成資産を保全するための措置を講じることでございます。
本日は、この
構成資産の保全等としての万全の
保護措置についてご説明させていただきます。
2.「万全の
保護措置」とは、でございますが、1ページの下のほうに
構成資産の保護のイメージを記載しております。
構成資産となる教会やその敷地等を中心とする部分が
世界遺産に直接登録されるコア・ゾーンでございまして、
構成資産そのものの保護につきましては、
文化財保護法や
保存管理計画に基づく保全が必要でございます。
また、
構成資産をより確実に保護するため、コア・ゾーンの周辺に
緩衝地帯として
バッファゾーンを設け、
景観条例の制定などによる保全が必要となります。
資料の2ページをお開きください。
(2)に記載しておりますように、具体的な
保護措置のためには文化財の国指定、選定の追加、
保存管理計画等の策定、
緩衝地帯の設定のための
景観条例の制定などの作業が必要となってまいります。
保護措置の詳細につきましては、内容が文化財や景観に関することとなりますので、
資料に基づき、それぞれ文化財課及び
まちづくり推進室から個々にご説明させていただきます。
文化財の国指定、選定の追加及び文化財の
保存管理計画等の策定につきましては文化財課から、
文化財周辺の
緩衝地帯の設定につきましては
まちづくり推進室からご説明いたします。よろしくお願いいたします。
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城戸文化財課長 それでは、引き続き
資料の2ページをごらんください。
(1)の文化財の国指定、選定の追加でございますが、1)に
構成資産の
文化財保護法による現在の指定状況を表に示しております。
構成資産のうち、国指定のものは
大浦天主堂、旧
羅典神学校、旧
出津救助院、また、新たに指定されました
大野教会堂を含め4資産であります。また、出津教会、日本二十六
聖人殉教地、ド・
ロ神父遺跡の3資産は県指定で、
サント・ドミンゴ教会跡は未指定の状況です。
世界遺産登録のためには、
構成資産が国の保護下にある文化財であることが必要となることから、今後、県指定や未指定の文化財を国の
指定文化財にすることが必要となってまいります。
なお、現在、長崎県
世界遺産学術会議で
構成資産の追加などについて検討されているところです。
次に、2)の
構成資産を国指定の文化財として指定する場合の手続きについてですが、文化庁との協議や
構成資産の価値づけなどのための研究、指定範囲などの調査を行い、所有者の方の同意を得た後に図に示しております手続きを経て
指定文化財に指定されることになります。
次に、
資料の3ページをごらんください。
(2)文化財の
保存管理計画などの策定についてですが、
構成資産を後世に受け継いでいくためには、建造物、史跡それぞれの
保存管理計画を策定する必要があります。
おのおのの
保存管理計画の内容につきましては、記載しております事項に従い策定することとしており、現在、長崎県が中心となって標準様式や策定方法について検討をしております。
次に、
資料の4ページをお開きください。
4)の
保存管理計画策定のための課題についてですが、
保存管理計画を策定するに当たっては、関連の諸機関との連携など保存管理を行うための体制が十分に構築されていることと、保存修理などを行う場合の永続的な費用負担の方針が明確にされていることが必要となります。
参考としまして、文化財を保存修理する場合の指定別の補助の割合を記載しておりますので、ご参照ください。
説明は以上でございます。
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新井まちづくり推進室主幹 続きまして、4ページの中段の(3)
文化財周辺の
緩衝地帯の設定についてから以降のご説明をさせていただきます。
まず、1)の用語の解説について申し上げます。
世界遺産の
構成資産となります区域をコア・ゾーンと言いますが、この核となる
構成資産と全くかけ離れたような環境とならないよう、その周辺に
緩衝地帯を設定し、人間活動の影響などが直接コア・ゾーンに及ばないようにすることも重要とされております。このように、保護すべき地域以外の地域からの影響を緩和するために設定する
緩衝地帯のことを
バッファゾーンと申します。
次に、2)の
バッファゾーンの
具体的設定方法についてでございますが、この
緩衝地帯、
バッファゾーンを設定するに当たりましては、まず行政において地区を定め、景観法に基づく
景観計画の案を策定し、地域住民の皆様方と十分に協議しながら、
バッファゾーンとしてふさわしい建築物の高さやデザイン、色彩などの景観の基準を設定することとなります。
これを行うためには、
世界遺産を人類共通の遺産として後世に残すという認識のもと、行政だけではなく、地域の住民の皆様方が景観を守るための
ルールづくりに積極的に参加するなどみずからが環境を守り、
世界遺産を未来に引き継いでいくという気概を持っていただくことが非常に重要だと考えております。
長崎市におきましては、これまで地域住民の皆様方の合意のもと、自主条例を制定し、東山手・
南山手地区を初めとする4地区を
景観形成地区に指定し、
景観形成基準を定め、地域の皆様方とともに景観の保全に努力しておるところでございますが、今後は景観法に基づく条例の制定が必要となってまいります。
次に、5ページをごらんください。
3)景観へのこれまでの取り組みについてご説明いたします。
昭和63年12月20日に長崎市
都市景観条例を制定しておりますが、この当時の時代背景といたしましては、昭和62年から始まりましたバブル期の中で経済性が優先されがちで、自然や歴史的なものが軽く見られる傾向にあり、その反動として、市民の景観に対する意識の向上も生まれてまいりました。
このころ、旧
香港上海銀行が国の
重要文化財に指定されたり、市制100周年事業として
国際斜面都市会議の開催などが行われました。
このような中、自然と歴史にはぐくまれた長崎らしい
まちづくり、魅力ある
まちづくりを目的に、長崎市
都市景観条例を制定しております。
また、平成2年4月5日には
長崎ならではの都市空間の創造、生活環境の質の向上、
歴史的環境を生かした
都市景観の形成、市民参加の
まちづくりの4つの基本理念を掲げ、都市魅力の強化を目標として長崎市
都市景観基本計画を告示しております。
この
景観基本計画には、本市の景観を特徴づける大きな背景である歴史が集積する重要な地区として、5ページの中ほどの表に記載の8地区を掲げております。
そのうち、現在は長崎らしい
まちづくりを進めるため、面的に一体的な
都市景観の形成を図る必要がある区域として、平成4年3月2日に指定しました
東山手地区・
南山手地区を初め、中島川・寺町地区、
平和公園地区及び館内・新地地区の4地区を
景観形成地区に指定しております。
また、平成9年4月の中核市の移行に伴います長崎市
屋外広告物条例の制定や、昭和60年から実施しております
違反広告物の
除却推進運動を積極的に推進するとともに、市民に公的な掲示場所を提供するふれあい掲示板の設置事業を展開しながら、良好な景観の形成に努めているところでございます。
次に、(ウ)の
景観形成地区における景観の
具体的保全方法といたしましては、
建築行為等を行う場合や大
規模建築物につきましては、事前の届け出を通じて良好な景観を形成するための助言や指導を行っているところでございます。
また、長崎市のパノラマ的な大景観としての長崎港の重要性から、長崎港の内港地区につきましても、港湾景観の保全や育成を図るため、
長崎港内港地区都市景観誘導基準を策定し、景観の保全に努めているところでございます。
次に、6ページをごらんください。
(エ)の
構成資産周辺の現状でございます。
まず、
土地利用規制の現状を申し上げますと、1)の
大浦天主堂及び旧
羅典神学校付近につきましては、用途地域が第1種
低層住居専用地域、それから下の石畳の坂道部分の参道につきましては第2種住居地域となっております。また、当地区は国指定の
南山手伝統的建造物群保存地区、
南山手風致地区、東山手・
南山手地区景観形成地区の一角に位置しております。
2)の旧
出津救助院、出津教会、ド・
ロ神父遺跡付近と3)の
大野教会堂付近は、
都市計画区域外で
農業振興地域となっております。
4)の日本二十六
聖人殉教地付近につきましては第1種住居地域となっており、隣接するNHKから交通会館の地域は商業地域でございます。
5)の
サント・ドミンゴ教会跡付近は、商業地域となっております。
市内の
構成資産に係る分で
景観形成基準がありますのは
南山手地区のみとなっておりますので、その
大浦天主堂付近の基準を抜粋して7ページに記載しております。
なお、このエリアにつきましては、別添のA4サイズの
両面カラーコピー「東山手・
南山手地区景観形成地区」をごらんいただきたいと思います。
数字の具体的な基準がありますのは、建物の高さや構造・階数で、そのほか、色彩の原色を使用しない、
建築設備等や
自家用広告物等についても屋上には設置しない、建築設備をやむなく屋上に設置する場合は隠ぺいするなどがあります。
次に、8ページをごらんください。
今後の取り組みといたしましては、中ほどの今後の
スケジュールの表の最上段に記載しておりますが、新たな
景観基本計画の策定につきましては、平成22年度を目標に取り組んでいるところでございます。
そこで、表の2段目、平成20年度の部分でございますが、合併町を含む長崎市の全域を対象として、景観資源の抽出・整理・再評価を行い、
景観形成の
基礎データとするため、先月下旬に
景観資源データベースの構築に係る
業務委託契約を締結したところでございます。
また、
世界遺産登録を契機とした取り組みにつきましては、現在、県のほうで本年7月を目標に
構成資産の基礎調査が行われており、これを受けた形で
外海地区の
文化的景観基礎調査及び
景観計画策定に係る詳細調査や計画の策定を行うこととしております。
表の平成20年度の最下段の
まちなか景観検討調査業務につきましては、昨年度の
まちなか再生検討委員会からの提言を受け、建築物の高さ等のあり方について具体的な議論が行えるような検討調査を行うこととしております。
次に、8ページの下段の(カ)
景観計画基本方針について、概念図で簡単にご説明させていただきます。
一番外枠の長方形の部分が合併町を含む市域全体をあらわし、内側の角が取れた濃い四角形の部分が旧長崎市の区域をあらわしております。
中が白抜きの細い線で囲まれた四角形の部分が
大野教会堂や
大浦天主堂などの8つの
構成資産を含む
世界遺産に係る地区です。
楕円で囲んだ部分が既存の
景観形成地区で、
世界遺産に係るものは
大浦天主堂、旧
羅典神学校が含まれております。
世界遺産に係る部分の
景観計画の策定につきましては本年度を目標とし、一番外枠の長方形の長崎市全域につきましては、平成22年度末を目標に新たな
景観基本計画を策定することとしております。
ここで9ページの説明に入ります前に、平成16年6月に制定されました景観法について簡単にご説明させていただきたいと思います。
別添の白い
パンフレット「美しい国、
まちづくりのために」と題した
国土交通省作成の景観法の概要の
パンフレットをごらんいただきたいと思います。
この法律は、我が国の都市、農村、漁村等における良好な景観の形成を促進するため、美しい風格のある国土の形成、潤いある豊かな生活環境の創造及び個性的で魅力ある地域の実現を図ることを目的としております。
この法律の基本理念につきましては、
パンフレットの見開きをすべてお開きいただき、左上のほうに記載してございます。
良好な景観は、国民共通の資産として現在及び将来の国民が享受できるよう、その整備及び保全が図られなければならないこと、良好な景観は、地域の自然、歴史、文化等と人々の生活、経済活動との調和により形成されるため、適正な制限のもとにこれらが調和した土地利用がなされる必要があることなどが掲げられております。
その下の部分の景観法の対象地域のイメージ図をごらんください。
これまでには主に青い鎖線の内側の都市部を対象とした
景観形成であったものが、青い鎖線の外側の
市街化調整区域や紫色の鎖線の外側の
都市計画区域外においても、黄土色の実線の内側の
景観計画区域に指定することができることとなりました。
景観計画は、現にある良好な景観を保全する必要があると認められる区域や、地域の自然や歴史、文化等から地域の特性にふさわしい良好な景観を形成する必要があると認められる区域などについて定めることとなります。
この
景観計画は、
景観行政団体である長崎市が作成することとなります。
景観計画において定める内容としましては、
景観計画の区域、
景観計画の区域内の良好な景観の形成に関する方針、建築などの行為の制限に関する事項、
景観重要建造物や
景観重要樹木の指定の方針などでございます。
景観計画区域においては、建築の届け出、勧告による緩やかな規制誘導を行うこととなります。
次に、
パンフレットの最後のページ、
景観計画区域における手続きの流れをごらんください。とじていただいて、一番最後のページでございます。
景観計画区域内で建築物の建築等を行う場合は、届け出の義務が生じ、その内容が
景観計画の制限に適合しない場合は、計画の変更やその他の必要な措置をとるよう勧告することができます。
特に、建築物のデザインや色彩などの形態、意匠につきましては、条例を定めることにより変更命令を行うことができるようになります。将来的には、
都市計画法の規定による
景観地区に指定することで、行政が建物のデザインや色彩について認定することとなりますので、より積極的に良好な
景観形成を図ることができるようになると考えております。
このほか、景観上重要な公共施設をそれぞれ管理者の同意を得て
景観計画に位置づけることで、各
公共施設管理者は
景観計画に基づいて整備を行うこととなります。
景観計画を定める場合の
法的手続きといたしましては、あらかじめ公聴会の開催等、住民の意見を反映させるための必要な措置を講じなければなりません。その後、
景観審議会に
景観計画の諮問をし、その答申を経て定めることとなりますが、
都市計画区域内にあっては、別途
都市計画審議会の意見を聞かなければならないこととされております。それらの手続きを経た後に期間を定めて、
景観計画を施行することとなります。
次に、恐れ入りますが、
資料の9ページにお戻り願いたいと思います。
4)の
バッファゾーンの設定に当たっての課題といたしましては、先ほどご説明いたしました景観法に基づく
景観条例の制定と
景観計画の策定が必要となります。
また、この
景観条例の制定に係る
景観計画は、そこに盛り込まれる
景観形成基準について住民合意が大切な要素となってまいります。
景観形成基準の内容といたしましては、建築物や工作物の高さ、構造・階数、外壁の位置、屋根や軒の形態、その他のデザイン、色彩など地域の特性を活かした具体的な基準とその適用範囲を定めることとなります。
なお、
景観計画につきましては、
世界遺産に係る部分や
駅周辺整備と相互に密接した関係もございますので、十分連携をしながら調整してまいりたいと考えております。
また、それぞれの地区の
景観計画は、最終的には平成22年度末策定予定の新たな
景観基本計画に包含するように考えておりますが、その過程におきましても、現在の
景観条例の規定や
景観形成地区の基準からの円滑な移行を行う必要があることや、
世界遺産に係る
景観計画や周辺の都市計画とそのような十分な連携をとりながら、調整を行ってまいりたいと考えております。
5)の
重要文化的景観への取り組みにつきましては、
外海地区の人々の生活、または生業と密接に関連した景観で、特に重要なものとして国により選定される
重要文化的景観に位置づける必要がございます。このためには、
景観計画を策定する必要があります。
今後、
構成資産を将来にわたって守っていくための
保存管理計画と整合した
緩衝地帯の設定を行いますとともに、
緩衝地帯の範囲、
景観形成基準づくりにつきましても、素案の段階から地域の皆さん方のご意見をお伺いしながら、
世界遺産登録を地域の
まちづくりの契機ととらえ、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
いずれにいたしましても、いろいろな
ルールづくりにつきましては、地域の方々との合意形成が最も重要な課題と考えておりますので、
まちづくり協議会など地域の方々とそういった十分な議論を重ねてまいりたいと考えております。
私のほうからは以上でございます。
7
島崎世界遺産推進室長 各所管よりご説明申し上げましたが、9ページ、4.「万全の
保護措置」の
スケジュールにつきましては、記載しておりますとおり、平成21年6月を目標に作業を進めてまいりたいと考えております。
また、5.「万全の
保護措置」に関する今年度の取り組みにつきましては、これまでご説明いたしましたとおり、(1)から(3)について取り組むこととしておりますが、それぞれの現在の進捗状況についてご報告させていただきます。
まず、(1)でございますが、
構成資産の現況調査につきましては、現在、県が5市2町分を一括して調査しているところで、7月中に一定の報告がなされることとなっております。
また、
構成資産の
個別保存管理計画の策定につきましては、先ほど
文化財課長からご説明いたしましたが、現在、県が中心となって標準様式などを作成中ですので、それができ次第、各
構成資産について策定していくこととなります。
次に、(2)の
長崎中心部地区と
外海地区における
構成資産の
景観保全方針の検討と
景観計画の策定並びに(3)の
外海地区における
重要文化的景観申し出のための調査につきましては、現在準備を進めておりますが、7月中に調査等の作業に入りたいと考えております。
また、
外海地区の
重要文化的景観につきましては、
外海地区の
文化的景観保存計画を策定するため、
学識経験者や
地元関係者ら7人による
外海地区の
文化的景観保存計画策定委員会を設置し、7月に第1回開催を予定しております。
なお、これらの調査や計画策定に当たっては、地元の方々のご理解とご協力が必要なことから、
構成資産周辺の
連合自治会の皆様などに説明を行い、今後の協力を依頼したところでございます。
特に
外海地区におきましては、
文化的景観の取り組みも行うことから、先週の25日から27日までの3日間、出津、黒崎、神浦、池島の4地区の住民の皆様への説明会を行ったところでございます。
10ページ、11ページをお開きください。
参考といたしまして、昨年、
世界遺産に登録されました石見銀山と現在ユネスコに推薦書が提出されております平泉についての
保護措置の状況を記載しております。
いずれも、各
構成資産については
個別保存管理計画を策定し、
バッファゾーンについては、
景観計画や
景観条例による景観基準を設定することによって
構成資産の
保護措置が図られております。
なお、12ページには
スケジュール、13ページには
構成資産の配置図、14ページには中央部の区域図、15ページには
外海地区の区域図を記載しておりますので、ご参照いただきたいと思います。
説明は以上でございます。
8
前田哲也委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまより質疑に入ります。
皆さんまだお考え中だと思うので、私から先に1点だけ、文化財の指定の話が一番初めにありましたけど、出津、二十六聖人、ド・ロ、サント・ドミンゴをこれから国に格上げするために頑張っていきたいということでしたが、当初お聞きしたときには、
構成資産の要素として国の指定が必ず必要なのかという質問に対しては、いや、必ずしもそうじゃないというような答弁であったと思うんですが、そこをもう一遍確認したいのと、もし、さっき説明したように国指定が絶対条件ですよということであれば、この4つの案件が間に合うのかどうか、そのタイム
スケジュールもお聞きしたいと思うのと、今年指定された大野の教会ですね、これが2ページの後段に行く手続きによると、かなりいろんな手続きを踏んでいるみたいですけど、大野の教会が今回指定されるに当たっては、何年の何月の時点から準備をしていって今回指定に至ったか、その結果についてもお知らせをいただきたいと思います。
私の質問はまずそこまでとして、その間に皆様方もまた質問をお考えになっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
9
島崎世界遺産推進室長 世界遺産登録の要件としての文化財指定の問題でございます。
当初ご説明させていただいたときに、文化財については、原則として文化財指定が必要でございますというご説明をさせていただいたかと思います。
これに関しましては、まず、万全の
保護措置の中で文化財登録が必要であると。その万全の
保護措置ということで、例えば、サント・ドミンゴあたりは長崎市指定の品物でございますし、長崎市として責任を持って保全をする体制をとっております。しかしながら、未指定ということでございます。そういうものについての文化庁見解がいかがなものか、そのあたりは若干協議をしなければいけないのかなと、そういう含みもございました。
ただ、現状、ずうっと文化庁と話をしてきた中では、
世界遺産の登録におきましては、国内における法的な万全の
保護措置が必要であると、そういうことを認識させていただいている次第でございます。
したがいまして、
文化財保護法による指定、それが現状においては不可欠であると考えております。
10
前田哲也委員長 室長、僕が聞いたのは、その話はずうっと聞いているので文化財としての保護が必要なのはわかっているんですが、国指定が要るのか要らないのかというのをはっきりさせてくださいということでお尋ねしています。
11
島崎世界遺産推進室長 国指定が必要という明文化された部分は特にいただいていないんですが、ただ、現在までの事例を踏まえますと、国指定になっております。したがいまして、文化庁としての指導は国指定ということになろうかと考えております。
また、
世界遺産自体が、日本という国が世界に対して推薦をするという制度でございますので、日本という国家における指定がやはり必要ではないかと考えております。
以上でございます。
12
城戸文化財課長 文化財の国指定についての
スケジュールに関してでございますけれども、国指定に至るまでの手続きにつきましては、
資料のほうに示しているような流れでいきますが、国指定の手続きにつきましては、文化審議会の諮問というのが年に2回行われることになっております。
春の時期はおおむね3月下旬の諮問、秋の時期は9月の下旬の諮問となっておりますので、新たな国の指定におきましては、この時期を逃さないように取り組んでいき、また、文化庁のほうにも要望をしていくようなことで考えているところです。
それから、
大野教会堂につきましての指定に至ったいきさつでございますけれども、時期的なものでございますが、平成19年の12月に文化庁の調査官のほうが現地を見て、そして、その次の年、平成20年、先ほど申し上げましたが、春の文化審議会のほうに諮問がされております。その結果、4月18日に文化審議会のほうから新たに指定すべき文化財として答申が行われ、このたび、6月9日に告示という形で国指定の
重要文化財となっているような状況でございます。
以上でございます。
13
前田哲也委員長 はい、わかりました。
それでは、委員の方のご質問を受け付けます。
14 池田章子委員 3ページに文化財の国指定のための課題というところがあって、所有者の同意というのがあるんですよね。保存にかかる永続的な費用負担への対応というのがあるんですが、国の指定になると、いわゆる修理費にかかわってはある一定程度お金が出てくると。ところが、それ以外のお金というのを所有者の方たちが確保していかなければいけないのかなと。たしか出津教会の辺を見たときに、いろんな経費が信者の方々の善意にのみ頼っているというふうなことがあったんですが、この所有者の同意のところの費用負担について、もうちょっと説明をしていただけないかと思っております。
15
城戸文化財課長 文化財保護法におきましては、この文化財を国指定ということにする場合に最も大事な点としまして、所有者がその文化財を末永く保存していくという意思があるかどうか、ここら辺を重要にとらえているわけですけれども、そういった中で、本来的にはまず所有者のほうで指定された文化財につきましては、みずからの意思に基づいて保存していくような義務が生じてまいります。
そういった中で、今ご質問がありましたけれども、4ページに掲載しております補助の内容におきまして、修理など保存にかかる場合の経費の補助は出るわけですが、それ以外の経費につきましては特に定められておりませんので、所有者の方々の努力に基づくということになります。
以上でございます。
16 池田章子委員 そしたら、いわゆる修理以外の維持をしていくというふうなことに関しては、少しでも補助をしていただけないものかというふうなことを言われていたと思うんですけれども、長崎市としてそういうふうなことに取り組んでいくということは考えてはいらっしゃらないんですか。いわゆる財政的に補助していくということは考えてはいないんでしょうか。
17
城戸文化財課長 長崎市としての取り組みでございますけれども、市としては長崎市の文化財保護条例に基づきまして、この補助の制度を設けております。あくまでも、この補助の範囲の中での市としての取り組みということになります。
以上でございます。
18 池田章子委員 そしたら、長崎市の補助の対象となるのは、やはり修理にかかわってだけなんでしょうか、そこを教えてください。
19
城戸文化財課長 長崎市として対象とするものにつきましては、修理のものもございます。あとまた、これは伝建地区の場合ですけれども、修景の部分もございます。
それから、あと防災ですね、災害の場合の補助、こういったものもございます。
以上でございます。
20 池田章子委員 修理とか、災害のときの修復であるとか、そういうことももちろん、特に長崎にある
大浦天主堂とかなんとかはちょっと大きいと思うんですけれども、小さな外海にあるものとかは、なかなか維持管理、保存というのは所有者だけの力ではやっていけない部分というのが、これからどんどんまたそういうふうな状況になっていくんじゃないかなというふうに思うんですよね。
ですから、やはりそういうふうな経済的なバックアップみたいなものがある程度ないとちょっと難しいのじゃないかなと、厳しいのではないかと思うので、その辺を今後考えていってもらいたいなという要望をしておきたいと思います。
21 久米 直委員
世界遺産を問うている今現在の中で、ちょっと小さ過ぎるのかなと思うんだけど、持ち主から要望されて文化財の指定にしてくれんだろうかというのがあるんですか。それとも行政側とか、いろんなところでこれは残していきたいということで、文化財の指定をしていきたいということ、どうなんでしょう、教えてください。
22
城戸文化財課長 文化財指定における要望ということですけれども、まず、国の
重要文化財のほうに指定する場合、これにつきましては、文化庁のほうがさまざまな調査の中で文化財として指定すべき原案というのを持っております。
そういった中で、その中からあとは関係の市町協議の上、また、市町は所有者の同意というのを受けた上での指定となるわけでございまして、基本的にこれは所有者が申請をして文化財となるというようなシステムではございません。
市のほうに要望という形では、そういったケースもありますが、やはり基本的にそういった要望につきましても、具体的な文化財としての価値、そういったものを詳細に調査するということが前提となります。
以上でございます。
23
前田哲也委員長 久米委員が言っていることは非常に大事なことだと僕も思っているんですけど、行政が今回の場合、主導的に文化財の格上げも含めて進めていこうとする中で、要は教会という信仰の場であるところの方々がそれを積極的に望んでいるのか望まないのか、文化財になること、もしくは格上げされることでの地元の方たちに対する、こういう表現が適切かどうかわかりませんけど、メリットは何があってデメリットは何があるのかということを含めて、そこの合意形成が、所有者の同意がとれるかというのが、多分池田委員のことも含めて、であるならばプラスアルファ、もう少し行政としての支援も必要ではないのかというご提案も含めた要望だったと思うんですが、本当に地元の方々から文化財になることの意義みたいなものを地元が十分感じられておるのかどうか、それともそうじゃなくて、今までのような形で信者の方たちでこれからも守っていくのがいいという認識があるのか、そこら辺を多分久米委員はお聞きされていると思うんですが、そのあたりでもう少し踏み込んだ答弁というか、市の考え方があれば求めたいと思います。
24 樫山
文化観光部長 個々の教会のご意向というのは、特に確認はさせていただいておりませんけれども、県下の、特に県北のほうのある教会では、こういったふうな取り扱いというのはぜひご遠慮願いたいという意思表示をされているところはあるというふうに伺っております。
そこで、そういったふうなところも含めて、長崎の大司教区としての考え方としては、確かに十分マナーを守っていただいた上で観覧をお願いしたいと。いわゆる教会というのは自分たちの祈りの家ですからね、できればこれまでどおり大事にしていきたいという中で、あと1つ、カトリックの先人の方々の信仰体験というのも今回大きな
構成資産の一つになっていると。そういったようなこともかんがみて、カトリックにとっても今回の
世界遺産登録というのは、いわゆる間接的な宣教ではないかと、そういったふうな意味も持ち合わせているということで、そういったことで大きな考え方としては、今回の
世界遺産登録に向けては肯定的な考えを持たれているというふうに我々は認識をいたしております。
以上でございます。
25 中村すみ代委員
文化財保護法に基づく指定についての協議の現状なんですけれども、先ほどちょっと調査会の正式な名称を途中聞き漏らしたんですけれども、長崎県学術調査会という調査会が設置されているということなんですけれども、常設なのかどうか、それから委員の構成メンバー、これも聞き漏らしたかもわかりませんが、今回の
世界遺産本登録に向けた
構成資産の中で協議対象になっているものはどういうものなのかということが1つです。
そして、その調査会の協議の結果、先ほど委員長が質問されたような段取りで進められていくんだろうと思うんですけれども、そのあたりの現状をひとつ教えてください。
それから、先ほど
外海地区で保存計画策定委員会を7月中ですか、設置するということでご説明があったんですが、7名の委員で委員会が設置されているということですけれども、先ほど若干説明がありましたけれども、構成メンバーを教えていただきたいということと、それから、6月25日から27日まで
外海地区の4つの地区で地元説明会を開催されたということなんですけれども、対象者ですね、どういう方々に参加を呼びかけたのか、対象者と、それから参加者数、それから出されたご意見、そういったものを教えていただきたいと思います。
それと、質問の最後ですけれども、長崎中心地区に関しては、やはり今後の都市計画との整合性が大きな課題になるのかなと。景観の問題、
バッファゾーンの設定ということを考えますと、都市計画との整合というのが重要な課題になるのかなと思っているんですけれども、そういった意味では
都市計画部と、それから
文化観光部とか、企画部との調整というのが非常に重要になってくるかと思いますし、都市計画サイドからすれば、特にJR長崎駅周辺の整備計画というのは県市一体となった大きな
まちづくりの計画になっているものですから、そのあたりで都市計画のほうがこういった
世界遺産本登録に向けた大きな課題との整合性についてどのように考えていらっしゃるのかなというのが大きなポイントになるのかなと思いますので、整合性に向けての考え方というものを改めてお聞きしたいということと、それと
外海地区の
重要文化的景観の形成ですけれども、出津地域だけではなくて、
大野教会堂地域の
重要文化的景観形成というものも課題になってくるのだろうと思うんですけれども、私たちは出津地区を中心とした
重要文化的景観形成のほうにどちらかといえば頭がいっているわけですけれども、
大野教会堂地区の問題も今後の課題になるのではないかと思うんですけれども、そういった意味で
バッファゾーンの設定とか、そういったものについて、またこれも課題になってくるかと思いますので、そのあたりをお尋ねいたします。
以上です。
26
島崎世界遺産推進室長 まず、
文化的景観の委員会でございますが、現在、委員数7名ということで、うち6名は大学の教授または准教授の方でございます。そして、1名が
外海地区の
連合自治会長、地元代表ということで参画をしていただいております。
基本的に植生、あるいは歴史、あるいは集落構造、集落構成、景観、そういった観点から検討いただきまして、
文化的景観の保存計画について策定をしていただくということまで行っていただくようにしております。
この委員会につきましては、本年5月に一応設置をさせていただいて、7月に第1回目を開催したいと考えております。
ちょっと順番が入れかわりますが、
重要文化的景観の考え方、大野地区の考え方でございますが、まず、
重要文化的景観を調査するに当たって景観調査も並行して行うわけなんですが、基本的には旧外海町、地域としましては全体をまず調査対象としたいと考えております。
そういう中で、
構成資産周辺、先ほどお話がございました大野、あるいは出津、そういったものが恐らく歴史的、文化的中心になってこようかと思いますが、そういった
構成資産周辺への絞り込みを行った中で、
文化的景観のエリアは文化庁と協議をしながら決定をさせていただきたいと考えております。
続きまして、県の学術会議でございます。
県のほうで学術会議なるものを設置いたしました。これは昨年の12月でございます。内容といたしましては、
世界遺産暫定リストに追加掲載された段階で文化庁のほうから
構成資産の精査、あるいはコンセプトの明確化などの宿題が出ておりますので、そういった部分を学術的に検討するという形で県の学術会議が設定をされたものでございます。
委員数としては6名でございまして、これも基本的には大学の教授の方々、有識者の方々で構成をされております。
お名前を申し上げますと、まず、委員長としては先日、参考人として来ていただきました林一馬先生、そして、ほか委員の方5名でございますが、純心大学学長の片岡千鶴子先生、東京の聖トマス大学大学院教授でございます五野井教授、筑波大学の教授でございます斉藤先生、政策研究大学院大学の教授でございます篠原先生、それから九州大学大学院の教授でございます服部先生、それに先ほどの林委員長を含めまして、6名という構成で
構成資産の精査等を行うようにしております。
以上でございます。
27
新井まちづくり推進室主幹 中心地区のご意見、ご質問でございます。
長崎駅周辺は県都としての長崎の顔となる重要な地区でございます。長崎駅周辺の役割と申しますと、広域交通拠点というのがまず第1に挙げられるかと思います。このようなことから、こういうところではにぎわいの創出、交流の促進を図りながら、県都の玄関口にふさわしい都市機能の集積、都市区間の形成を目指す必要があろうかと思います。
また、西坂においてもそうですが、長崎駅、こういった周辺地区についても、さまざまな歴史的な背景があろうかと思います。長崎の歴史というのは、歴史の上に歴史が積み重なっていった重層的な歴史背景もございますので、そういったものを踏まえ、県のほうで実施しておりますそういう基礎調査、これが7月には大体結果が出てくると聞き及んでおりますし、来月、長崎市のほうでもこういった
景観計画の調査業務を委託するようにしております。こういったことの結果を踏まえながら、最終的には文化庁と協議をしながら、その設定については考えてまいりたい、そういうふうに考えております。
以上でございます。
28
島崎世界遺産推進室長 先ほど答弁を漏らしておりました。申しわけございません。
説明会の問題でございます。
外海地区で実施をした説明会でございますが、どういう対象であったか等々でございますが、まず、
外海地区の全地域、全住民を対象とした説明会でございまして、
外海地区を大きなくくりとして4つの地区で開催をさせていただいたということになります。
その外海を4つの大きな地区で区切ったところが出津であり、あるいは池島であり、神浦であり、黒崎であると、そういうふうにご理解をいただきたいと思います。
それと参加者でございますが、池島を除くほかの3地区につきましては、おおむね30名前後、池島が15名ぐらいだったと思います。合計で110名か120名、参加をいただいたと思います。
また今後、8月に県と一緒になりまして、今度は地区住民さんではなくて信者の方々を対象にした説明会を実施させていただきたいと予定をしております。これは
世界遺産登録につきまして、暫定リストに提案する際にカトリック大司教区、あるいはお告げのマリア修道会などには登録に当たっての所有者としての同意もいただいたところではあるんですけれども、ただ、それぞれを構成される信者の皆様方に再度、現在の取り組み等をご説明させていただくような機会を設けたいと、今県と協議をしております。
以上でございます。
29 中村すみ代委員 説明会で出された意見というのは大体どういうものがあるのかということと、それから、県にこのたび、昨年の12月に設置された本登録のための調査会ということですけれども、この大まかな
スケジュールの
構成資産の決定のところで平成20年度中に
構成資産の決定ということになっているわけで、最終的にこの調査会で、国の指定との関係で間に合うように、
構成資産の決定ということはもう大詰めに来ているということでしょうかね、この調査会の協議というのは。今回の
構成資産の決定で、もう大体大まかに決定していくということでいいんでしょうかね。日程的に間に合わないということになると思いますので、そのあたりをちょっと聞かせてください。
30
島崎世界遺産推進室長 まず、説明会で出たご意見等なんですが、例えば、
世界遺産登録に関して地域振興につなげてほしいというご意見とか、あるいはいつごろを目標にしているのか、そういう意見などさまざま出されましたが、総論的に申しますと、
世界遺産登録に向けての期待感がかなりうかがわれたご意見だったと思います。
次に、県の学術会議のお話でございますが、県の学術会議におきましては、現在、文化庁からの
構成資産の精査という観点から、当初提案をいたしました20資産にプラスをいたしまして、合計35資産を候補といたしまして、その
構成資産の精査を行っているところでございます。
委員からご指摘がありましたように、
スケジュールの問題等もございますので、現在、長崎市といたしましては、県のほうに早急な決定をお願いしたいというふうな申し入れもしているところでございます。
いずれにしましても、現在予定しておりますとおり、平成23年の登録を目指した形で県、5市2町連携して進んでまいりたいと考えておりますが、実際に
世界遺産の
構成資産の確定がされた段階で、作業量を含めて、また県、5市2町を含めてどういった形で進めていくのが一番速やかに進めるのか、そういった部分についても協議をさせていただきたいと考えております。
以上でございます。
31 堤 勝彦委員 文化財の保護管理計画の策定を平成21年6月を目標になさっていると先ほど聞きまして、先日のニュースで外国のどこでしたか、
世界遺産登録された後に日本人が落書きをされたという事件というのがありまして、すごく心を痛めたところであるんですが、保存管理の中でそういう落書きやいたずら等、それに対しての対処法なんかも考えておられるのかというのと、南山手では屋外広告物等の基準が幾らかありまして、余り派手な看板なんかはないと思うんですけど、その中で長崎市が平成8年12月24日、
屋外広告物条例を制定されていますけど、これによって市内の看板、ビルの屋上の看板の面積を何平方メートル以下とかに決められたと思っております。そういうふうに聞いているんですけどね。ですから、今現在、看板の枠があったら枠まで壊せとは言ってないけど、中の看板だけは小さくということを聞いておりました。
その辺を踏まえて、今後、
バッファゾーンを設定する中で、その看板の色等も今後変わってくることがあるんですかね。赤や緑や黄色やたくさん、特に駅前はすごく派手になっているんですが、その辺、二十六聖人と
大浦天主堂の直線を結ぶ関係でも、その辺の色合いが変わってくるものかどうかを教えてもらえればと思っております。
32
島崎世界遺産推進室長 保存管理計画の分についてお答えいたします。
保存管理計画の中で落書きに対する対処等々に関しては、なかなか明確な分は出てこないと思うんですが、全般的な管理計画でございます。
ただ、その前提といたしまして、特に教会など信仰の場を対象としている
世界遺産でございますので、当然、観光客に対する見学の仕方の
ルールづくり、あるいはその周知、これは非常に大切なことだと考えております。そういった
ルールづくり、あるいは周知の中で、そういうことがないような形で十分努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
33
新井まちづくり推進室主幹 屋外広告物、看板についてのご質問でございます。
確かに東山手・
南山手地区景観形成地区におきましては、概要でございますが、自家用広告物を除き設置できない、そういうふうにしているところでございます。また、自家用広告物についても、屋上には設置しないようにということにしております。また、色彩についても、色彩形態、これについては周囲の環境、景観と調和したものというふうな規定を定めております。こういったことで、
世界遺産にかかわるそういう
景観計画においても、そういう看板の出し方、そういったものについては大体似たような形になろうかと思います。
また、特に色彩のことについて言われておりますが、現在でも特に派手なものとか、原色であるものとか、そういったものはご遠慮いただくような指導をしております。
また、こういった看板の出し方、形状等についても、地域の皆様方、事業者の皆様方と一定のルールをまちの一つの共通認識等、持っていただく必要があると思います。そういったことで、地域の皆様方と十分に話し合いながら、
ルールづくりをしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
34 津村国弘委員 お尋ねしますが、1つは、5市2町で
世界遺産についての取り組みが行われているわけですが、他の市町がどういう状況に推移しているのか、それが1つ。
それからもう1つは、やはりこの
世界遺産登録に向けて住民の合意形成が大事だというふうに先ほど説明が行われました。
外海地区について言えば、4地区に分けて住民説明会を終えて、大体30人前後が参加をされたということですよね。やはり説明会だけ、意見を聞くだけというだけにとどまらず、今後、一体住民自身の
世界遺産登録に向けての一定の合意形成を図るためにどんなことを考えておられるのか、何か
まちづくり委員会といいましたか、何とか委員会をつくりたいというふうに言われておりますけれども、今後、どのような
スケジュールで考えておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
3年後に、これは国が毎年1つの申請をユネスコにするんでしょうけれども、その3年後の国の申請に何とかという話だと思いますけれども、各市町の取り組みがどのようにされておるのか、改めてお聞きをしておきたいと思います。
35
島崎世界遺産推進室長 まず、5市2町の取り組みでございます。
本市を除きまして4市2町ということでございますが、それぞれ庁内に統一的な市、あるいは町全体として取り組むための推進本部体制、それに類似したものをつくられております。
それと、
世界遺産を担当する課を新設されたり、あるいは現在の、もともと既存の分にそういった分の専属の方々を配置されたりということで、組織的な体制を固められて、現在、我々と同様に
保護措置にかかわる分、文化財登録の分、あるいは景観関係に関する分の作業を進められているところでございます。
そういった5市2町、それぞれ現在実務に入っておる中から、そういう実務面の情報交換をするという形で、長崎市のほうから提案させていただきまして、5市2町による
世界遺産登録推進市町連絡会議というものを設置させていただきました。そういった中で、それぞれの各市、各町の取り組みが無駄にならないように、お互い情報交換をしながら、同じ認識に立って進めてまいりたいと考えております。
次に、住民の合意形成ということでございます。
まず、第1といたしましては、
構成資産周辺の自治会を中心とした地元説明、これは逐次実施をさせていただきたいと考えております。そういった中で、地元の個々の住民の方々のご意見もちょうだいしながら、あるいは説明をいたしながら、まず合意形成を図りたいと。また、長崎市の市民の皆様全体にも
世界遺産の取り組みについては十分周知をしていただく必要がございます。それが合意形成の基盤になろうかと考えておりますので、それは長崎市のほうの
世界遺産登録推進本部の中に伝える部会という情報発信の部会をつくっておりますので、そういったところから広報ながさき、その他媒体を利用して市民への周知を図っていきたいと考えております。
また、県のほうで5市2町、県下全体に対する広報周知活動も行うようになっておりますので、そのあたりとも連携をしながら、周知を図っていきたいと思っております。
さらに地元との合意形成の中では、県のほうで今後、行政と民間と、それから所有者、そういったところを含めた協議会的なものをつくるようにしておりますので、そういったところも利用しながら合意形成を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
36 津村国弘委員 住民との合意形成で、関係する自治会との説明会を今後とも開いていきたいと。この間、外海に視察に行ったときに、例えば、カトリックの信者の方が自分たちの教会で祈りをささげるときにそれが荒らされるんじゃないかとか、そういう危惧の声がありました。そういう意味では、いろんな関係者と住民との合意形成というのがやっぱり必要だと思うんですよ。そうしないと、言い方は悪いけど、ばあっと市のほうで打ち上げて、そして、住民は余り知らんふりということではやっぱりまずいわけですから、まさにこの普遍的な価値を受け継いで、そして、それを守っていくという、そのための
世界遺産の登録ですからね。そういういろんな関係者の皆さんと合意できるような、そういう形をとる必要があるんじゃないかなというふうに思っているわけなんですよ。
そこら辺がどう考えておられるのか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
37
前田哲也委員長 あわせて津村委員のほうから、
景観形成の合意形成という意味合いの質問もあったと思うので、
都市計画部のほうの答弁を求めたいと思います。
38
島崎世界遺産推進室長 まず、合意形成の仕方でございます。
確かに
外海地区に限って言いましても、本当住民の方の合意形成がないと、これは
世界遺産登録への取り組みなどはできるものではないと思っております。実際、説明会の中でも私ちょっと申し上げたんですが、
外海地区の説明会で申し上げたことですので
外海地区を対象としておるんですが、20年、30年、あるいは子どもさん、お孫さんにどういう地区を残したいか、そういうご意見を伺いながら、そのご意見に沿った形でどういうルールをつくっていくべきか、一緒に考えていきたいと、そういう話をさせていただいておるところでございます。
そのように、地域住民の方々の将来にわたるお気持ち、そういったものを十分受けとめながら、一緒になって考えていきたいと思います。
具体的な方法としては、今後、調査等も入ってまいりますが、そういう中で住民参加型のワークショップ的なものも取り入れながら、そういう調査の中でご意見を聴取していく、そういう手法をとりながら、関係の皆様方の連携をとった形で進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
39
新井まちづくり推進室主幹 景観計画、景観区域についてのご質問にお答えいたします。
この
景観計画の住民合意ということでございますけれども、
景観計画を
外海地区で策定する場合、コアになる部分、その周辺地区で
重要文化的景観、さらにそういうコアの地区に影響を及ぼさないような
バッファゾーンの設定というふうになってくるわけですけれども、そこに一定のルールをつくる場合は、やはり住民の意向も大事でございますけれども、そういうコアを崩さないような、台なしにならないような、そういう
景観形成の基準というのが必要であると考えております。
こういう基準をつくる場合、先ほど
世界遺産推進室のほうからも申しましたけれども、説明会等が重要になってくると。また、その過程において住民の意向を折に触れて十分に組み入れながら、ワークショップであるとか、そういったものを使いながら、一定の
ルールづくりをやってまいりたい、そういうふうに考えております。そういったことで一つの
ルールづくりを地域の皆様方とつくり上げてまいりたいと考えております。
以上でございます。
40 佐藤正洋副委員長 そしたら、ちょっとお尋ねしたいと思います。
先ほど来からいろいろ話が出ておりますし、今も津村委員からも話が出ましたけど、やはり所有者、関係者、地元というですかね、そういった方たちの合意、理解、ぜひ必要なんですが、暫定リストにも既に入っておるわけですけど、そういった話し合いというのはまだ、今の話を聞けば余り持たれていないような気がするんですけど、そのようなことで理解してよろしいんですか。
41
島崎世界遺産推進室長 説明が言葉足らずで申しわけございません。
まず、
世界遺産暫定リストに提案をする時点で、所有者の皆様方にはこういった形で
世界遺産の暫定リストにその教会等を
構成資産として提案させていただきたいんですが、ご同意いただけますかということで、まずその段階で第一義的な同意はいただいております。
そういった同意を含めながら、例えば、カトリック大司教区、あるいはお告げのマリア修道会等についても、既にご協力をよろしくお願いしたいということでごあいさつ等にも伺ったりしております。
以上でございます。
42 佐藤正洋副委員長 わかりました。
そういったことをしていただいておるわけですけど、先ほど来から初めのほうに個人の負担ですね、国、県、市の負担ということで質問もあっておりますけれども、もちろん説明があったとおり、文化財の条例でもって、ここに書いてありますように市の補助が4分の1とか2分の1以内とかということがあるわけですけど、それは一般的な文化財のことについての条例、規則じゃないかなと私は思っておるわけですけど、もう余り期間もないわけですから、この際、
世界遺産に向けたところで特別な枠を設けるとか、そういう考えがないのか、そういう協議がなされないものかどうなのかというのが1つ。
そうしないと、進まない場合に期限もないというときになって、慌ててじゃあそこの補助率を見直そうとか、そういうことでは非常に信頼関係がなくなってくるんじゃないかなという危惧もするわけですけど、そういう見直しの協議も全くできないものなのかどうなのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
43
城戸文化財課長 世界遺産の取り組みのためのこういった市の補助の見直しといいますか、そういうことについてのお尋ねでございます。
文化財につきましては、国の
文化財保護法を初め、そういったものに基づきまして市の条例も定めておりますけれども、やはりこれは
世界遺産に絡んだ文化財ということよりも、普遍的に国民、市民の財産としての文化財という位置づけがもともとございます。
そういった中で、こういった文化財の取り扱いにつきましては、それぞれの持つ文化財の指定の枠によって、特別にどこを手厚くということではなくて、そういった文化財の持つ意味、そういったものを考えた上で、一般的にこれはほかの文化財とも平等に扱っていくということが必要ではないかと考えております。
以上でございます。
44
島崎世界遺産推進室長 その件について、
世界遺産推進室からもちょっとお答えをさせていただきます。
文化財のルールは、先ほど
文化財課長からお話をさせていただいたとおりでございます。それに関しまして、私どもといたしましては、現在、チャーチトラスト、あるいは商工会議所の
特別委員会等、民間の支援の動きが多く見えております。そういった中で、行政としてできる部分、あるいはどういう形の支援ができるか、そういった方法、さらに民間にお願いをしていきたいというような、そういったものの切り分けをしながら、何らかの形でそういう支援ができないか、民間のお力をかりながら検討していきたいと考えております。
以上でございます。
45 佐藤正洋副委員長 わかりました。
民間の方の力もかりるし、市も考えていけるところは、そういうふうなことも頭に置きながらしていったほうが、期限がないわけですからスムーズにいくんじゃないかなと思いますので、協議をしていただいて、いい方向に進めていただければと思って要望をしておきます。
以上です。
46 中村すみ代委員 大まかな
スケジュールの、委員会
資料の12ページを見ているんですけど、ちょっと整理する意味でも質問なんですが、真ん中あたりに
構成資産の決定は、先ほど長崎県の学術会議ですか、そこで協議されて決定されるということなんですけれども、
保存管理計画の策定については、
外海地区についてはこのたび委員会を設置して、
外海地区での
保存管理計画ですか、そういったものは策定されていくということなんですが、長崎市中心部の
保存管理計画の策定はどういった機関で検討されていくのか。
それから、
バッファゾーンの設定につきましては、
スケジュール的には新しい
景観条例案を来年の6月の議会に提案するということが新聞報道でもなされておりますし、6月議会の質問などでもあったと思うんですけれども、この新しい
景観条例の制定のために長崎市
景観審議会ですか、既存の長崎市独自の
景観条例に基づく長崎市の
景観審議会があると思うんですけれども、このたび景観法という法律に基づいて新たに
景観条例を制定するための審議会の立ち上げというのもあったと思うんですが、そのあたりの景観法に基づく審議会の立ち上げとか、それから既存の条例はどうなるのか、既存の審議会はどうなるのか、そういったものを教えていただきたいと思います。
それから、類似資産との比較研究ですけれども、今お話ししたのは全部平成20年度に集中しております。この類似資産との比較研究はどの機関で比較研究をなされるように準備がされているのか、それをお尋ねします。
47
新井まちづくり推進室主幹 中心地区の
バッファゾーンの設定という関連で、現在の
景観審議会、
景観条例の取り扱いについてでございますが、新しい景観法に基づく
景観審議会の立ち上げというのは、法の中には規定されておりません。ですから、現在ある都市
景観審議会がございますが、この都市
景観審議会に基づきまして、
世界遺産にかかわる
景観計画であるとか
景観条例、こういったものについては諮問し、審議していただき、答申をしていただくように考えております。
また、現在の
景観条例の取り扱いでございますが、このたび
世界遺産にかかわるものとして、多分今度は来年の6月ぐらいに議会のほうに審議をお願いすることとなる
景観条例につきましては、その時点では
世界遺産に限定した条例になる可能性もございます。ですから、来年の6月に設定されますそういった条例であるとか
景観計画、こういったものは平成22年度末、そういったところで長崎市全域の
景観基本計画、
景観条例というふうなものに移行していくというふうに考えておりますので、その中に将来的に包含されていくと考えております。
以上でございます。
48
島崎世界遺産推進室長 類似資産との比較研究ということで、どのように進むのかというご質問でございますが、これも先ほど申し上げました県の学術会議のほうで学術的検討をするような形になるんですが、具体的内容といたしましては、例えば、今回の長崎の教会群と
キリスト教関連遺産、この
世界遺産としての価値と、これまで登録されている他の
世界遺産との比較、あるいは海外等も含めて、そういう資産といいますか、財産といいますか、そういった部分との比較を含めたところでの研究ということで、最終的には
世界遺産委員会の中で説明をするために必要な部分でございますので、こういった
スケジュールの中で学術的な比較研究をさせていただくというふうなことを考えております。
以上でございます。
49
城戸文化財課長 保存管理計画の策定につきましてですが、これは市のほうで作成することとなっております。
以上でございます。
50 吉村正寿委員
世界遺産への登録のための課題で解決すべき課題も見えてきましたと、
保護措置を万全にしていくための計画も今からつくっていきますということなんですけれども、その先がいまいち自分自身でもよく見えないし、わからないところがあるんですけれども、コア・ゾーン、
バッファゾーン、特に
バッファゾーンなんですけれども、コア・ゾーンの
普遍的価値の証明のためにその良好な景観を保全するためにこの
バッファゾーンというものを設けて、きちんとその景観たるものを守っていってくださいよという位置づけだと思うんですけれども、これを
景観条例等で保全をしていきましょうと長崎市はされているわけですが、相手があってのことだと思うんですね。その相手というのは、要はこれを
世界遺産に認めるか認めないかというのはユネスコなわけですよね。そのときに、このユネスコが果たしてそれで十分かどうかという判断をされるわけですよね。それが長崎市の
景観条例以上のハードルを設けてきたときの用意というのが、今の長崎市にあるのかどうか。また逆に、この
バッファゾーンが広がれば広がるほど、対象の地域が広くなればその対象物というのはどんどんどんどん大きくなっていって、守らせるのも難しいと思うんですよね。そこのあんばいをどういうふうにしていくのか。
大浦が今、
景観条例地区に制定されていますけど、まさかこのまますべてだと大変なことになると思うんですよね。これをどのようになさろうとされているのか、一応そこまでまずお聞かせいただけますか。
51
新井まちづくり推進室主幹 構成資産の
普遍的価値、これを証明するためというのは、そのものが文化財であるとか、そういったもので指定されることで、しっかりとした保存計画を策定される必要があると。この
構成資産を外側の影響から守るためといいますか、悪影響を与えないための
緩衝地帯として
バッファゾーンがあるわけでございます。
こういう
景観条例というのは、景観というものは根本的には潤いのある豊かな生活環境の創造に不可欠であるものということが言えると思いますけれども、こういった
世界遺産にかかわる
景観計画をつくる際、そういった対象となる方々、
バッファゾーンの住民の方々、そこに業を営む事業者の方々、こういった方たちがこの
世界遺産がぜひ必要だと、そういったものの共通認識を持っていただく、これがまず重要なことだろうと思っております。こういった共通認識を持っていただく、そういう機運を醸成する、そういったことが行政の役割として大変重要なまず第一歩であろうかと思っております。
こういったことで、私どもも最初は自治会とかが中心になろうかと思いますけれども、そういった住民の方々、あるいは地域の団体の方々、事業者の団体の方々といろいろ協議をしながら、共通認識を持ってこういう
ルールづくり、そういったものに着手してまいりたい、そういうふうに考えております。
以上でございます。
52
島崎世界遺産推進室長 今の件を
世界遺産推進室の立場で申し述べさせていただきます。
まず、
バッファゾーンを設定したこと、それがユネスコ、あるいはイコモスが満足する分で設定ができるのか、あるいはそれがだめな場合はどうするのかというお話かと思うんですが、それに関しましては、現在、先ほどから話題に出ております県の学術会議、このメンバーの中にユネスコ、あるいはイコモス等の委員などを経験された方々などもおられます。そういった方々のご意見をちょうだいしながら、ちょっと経験則的な分でご助言等もいただきながら、手戻りがないような形で進めていきたいという考え方を持っています。
ただ反面、長崎市の景観行政の根幹にかかわることでございますので、これまでの景観行政の延長線上という形で、
世界遺産に関しても、
世界遺産の
バッファゾーンに関しても整理をしていくべきと考えております。
以上でございます。
53 吉村正寿委員 なぜそういう質問をするかといいますと、この前、林先生がおっしゃったことがちょっとひっかかっているんですよね。
林先生がおっしゃったことはどういうことかというと、
大浦天主堂に上がっていくまでのあの町並みを見たときに、果たして
世界遺産の決定をしようとしている専門家ですか、その委員の皆さんが果たしてどういう判断を示されるのか、自分にはちょっと悲観的なようなご見解を示されていました。
それがあったものですから、ちょっとそういうふうな質問をさせていただいたんですけれども、もしそれが逆に、極端な話、土産品店のあの町並みがあるがために
世界遺産になりませんよというような答申がもし出た場合に、先ほどから繰り返しの、地域の人たちが
世界遺産を必要なのかどうかという心の醸成をしていくのが行政の役目と思っているということでおっしゃってくださったんですが、気持ちはあっても、要は自分たちのなりわいとするほうが大事なわけで、そのときにあなたたちがどければ
世界遺産になるんだけれどもというのは、もう究極の選択になってしまいますよね。その辺の整理といいますか、何か僕が思うにできないことのような感じがするんですよね。だもんだから、先ほどから気持ちの醸成を行政としてはするしかないと、ここまでおっしゃるのが精いっぱいなのかなという思いがあるんですよね。
実際、平泉がだめだったわけですよね。だめといいますか、延期の勧告を受けているわけですよね。その平泉の延期の勧告がだめな理由の中にも、
バッファゾーンとの関係とか、そういったことも含まれているんですが、その辺の分析はなさっているんですか。
54
島崎世界遺産推進室長 平泉の件に関しましては、一応国のほうから県を通じて今情報を収集させていただいているところでございます。具体的な
バッファゾーンの有無の問題に関してまでは具体的に検討はしておりません。
ただ、今現在、私どもが伺っておるところで大きな理由としては、顕著な
普遍的価値の証明が十分でないなどの理由で、現在イコモスのほうの記載延期の勧告が出ているということを聞いております。
今後も情報収集に努めさせていただきながら、ともかく役に立つ情報はどんどん今後の
世界遺産登録の取り組みの中で利用させていただきたいと考えております。
以上でございます。
55 吉村正寿委員 ありがとうございます。
ちょっとわかりにくいので、自分でも何と説明していいかどうかというのが説明しにくいんですけれども、特に
バッファゾーンについて、
景観条例を定めてこういうふうにしますよというプランを保存計画ということで出すわけですよね。その場合に、それはプランだけではだめなわけだと思うんですよ。実際にそのようにしていかなければならないと思うし、そのときに
世界遺産の委員会としては、決めるほうのユネスコ側としては、それは必要条件なんですか、それとも努力目標だけでいいんですか。
56
島崎世界遺産推進室長 世界遺産の立場で申しますと、ユネスコのほうとしてはやはり必要でございます。ただ、必要というのは基本的な保全の方向性といいますか、そこの決定ということでございます。
それと、
世界遺産に登録するに当たりましては、2つ乗り越えるべきハードルがございます。
まず、先ほどの
世界遺産委員会、ユネスコのほうは当然登録の可否を決定していただくわけなんですけれども、その前段階で、まず国のほうから国の
世界遺産として推薦を提出していただくという作業がございます。そういう中で、先ほどの
バッファゾーンの問題なんかにつきましても、日本として
世界遺産委員会に出すという立場の中で、十分なご指導とか助言、ご協力、そういったものが得られるのではないかと考えております。
以上でございます。
57 吉村正寿委員 ということになると、皆さん一生懸命お仕事をなさっているんですけれども、どうも国に引っ張られて、県に引っ張られているという部分が、何か皆さんの機能不全になっている原因の一つにあるような感じがするんですけれども、ぜひ長崎の教会群を
世界遺産にしてほしいと思うんですが、皆さん大変なんでしょうけれども、頑張ってくださいとしか言いようが、何かできることがあれば応援をさせてくださいとしか言いようがないというところで終わります。
58
前田哲也委員長 要望にかえさせていただきます。
59 東 満敏委員 質問させていただきます。
まず、コア・ゾーン、
バッファゾーンの指定を受けると、その制限ですね、拘束力と罰則がどんなものかということがまず1点目ですね。
それから、
構成資産の指定について、今2ページに資産があげられておりますけれども、その中には未指定もあるし、県指定で国指定までなっていないところがありますけれども、ここでちょっと
外海地区の教会で気になるのは、黒崎教会ですよね。これが市指定にも県指定にもなっていないんですよね。未指定なんですね。
これはいきさつがございまして、今指定されているものについては、過去に行政からお願いをして指定をされたといういきさつがあるんですけれども、そのとき、黒崎教会も実はお願いをしたんですね。ところが、当時まだ黒崎教会としても財政が豊かだったんでしょう、指定を受けると修理とか改修とかをするときに制限されると。それが嫌だということで指定を断ったといういきさつがあるんですね。
そして、ある時期まで非常に信者以外を避けてきたと。観光的に訪れても、まず写真を撮らせない、中に入らせないということがあった。しかし、それがだんだんと時間の経過の中で、自由にいいですよ、いつでも来てください、写真もいいですよというふうになってきて、今では、教会側から言えば指定を受けてもいい雰囲気があるのじゃないかなということがありまして、この辺をこの機会に打診といいますかね、それもしていただきたいなと。
それから、15ページに外海の各関係資産があげられておりますけれども、10カ所ぐらいあげられておるんですが、非常にキリスト教絡みの資産が多いんですね。特徴的なものは、この前の林先生の説明の中にもありましたけれども、通称次兵衛岩と言うんですけど、ここの問題とか、それとバスチャン屋敷とか、いろいろその他あるんですけど、それと枯松神社ですね。この枯松神社については、隠れキリシタンの神社ですけれども、これは日本全国、こういう神社というのが大体4カ所あるんですね。その3つが長崎県にあるんですよ。生月、外海、それからこの長崎市内のロープウエーの近くに何かあると思いますけどね。それと、大阪といいますか、小豆島ですかね、あそこにあると聞いております。しかし、これを3つと言ったり4つと言ったりしているんですけど、それがあるということで、キリスト教の歴史の中では非常に特徴があると。
それで、現在のキリスト教の歴史というのは、やはり日本においては隠れキリシタンの歴史が非常に重要なんですね。弾圧期に全部隠れたと。そして、弾圧が解けてから教会に戻ってきたという事実。そのまま戻らんで隠れの信仰を続けてきたということは、やはりそういうのがありますので、非常に関係あると。
もっと言えば、お寺さんも実は関係あるんですよ。このキリスト教とは隠れの時代にですね。特にこの辺で有名なのは、三重の天福寺ですかね、禅宗の、ああいうところも非常に関係あるということで、まず指定については、できるものはぜひ、特に黒崎教会あたりは指定していただけないのかなという希望が私としてはあります。
それと、外海にはいろいろ隠れキリシタンの神社があり、教会はもとより、お寺さんが3つ、社を持つ神社が7つもあるんですね。それで、社を持たない神社というのは、ほこらとか、そういうのを祭っているところもいっぱいあるんです。言ってみれば、祈りの里的な状況がありますので、その辺も含めた歴史の考察をぜひやっておいてもらいたいなと。そのことから
世界遺産への取り組みをしていけば、割とわかりやすいといいますかね、意味もあると思います。
それと、さっき戻りますけれども、
景観条例をつくりますね。実は苦い経験がございまして、今、出津地区を出津文化村と通称言うんですね。これは条例があるわけでもないんですけれども、通称として行政が出津文化村と言ってきたということで、あそこには文化的資産がいっぱいあります。
それで、実は
景観条例を全くしていなかったものだから、民間がそぐわない建物、鉄筋コンクリートの建物を建てたんですね。建てることがわかってから、何とかやめてくれと言ったんですが、言うこと聞いてもらえんで建ってしまったという苦い経験もありますので、そういう意味では、もちろん条例もなかったものだから規制もできなかったということですけれども、そういう意味では、既存に建っているものも含めて、コア・ゾーン、
バッファゾーンについてはしっかりやっていただきたいなということがあります。
このお願いと質問ですけれども、よろしくお願いします。
60
新井まちづくり推進室主幹 まず1点目の質問のコア・ゾーン、
バッファゾーンの拘束力、罰則等についてのご質問でございます。
コア・ゾーンも含めて、
景観計画に基づいて
景観計画区域を指定されますと、その中での建築物について、建築をする場合、あるいは工作物をつくる場合、こういったものについては届け出が必ず必要になります。これは建築に着手する場合の30日前までに届け出を行うという拘束力が出てまいります。また、
景観計画に合わない場合、こういったものについては、指導、勧告、そういったものがなされることとなります。
国土交通省から出ている
景観計画の
パンフレットの最後のページにも書いてございますけれども、特に
景観条例でデザインとか色彩、こういったものについては、条例に定めることで変更命令ができることとなります。
あと罰則についてでございますが、この
景観計画地区での行為の届け出であるとか、無届けであるとか、そういった届け出がなされない場合、そういったものについては30万円以下の罰金であるとか、あと先ほど申しました条例に基づく変更命令、これに従わない場合は1年以下の懲役であるとか、50万円以下の罰金であるとか、そういった罰則が規定されております。
景観のほうからは以上でございます。
61
城戸文化財課長 黒崎教会の指定ということについてでございますけれども、
外海地区につきましては、今後、
文化的景観の調査ということを行ってまいります。そういった調査の中で、いろんな外海町にあります黒崎教会を初め、こういった資産につきましては、具体的な詳しい調査を行ってまいりますので、この黒崎教会につきましても、そういった調査の中で適性であるとか、有意性であるとか、そういったものの具体的な調査の中で今後の指定に向けて検討ができるのではないかと考えております。
以上でございます。
62
前田哲也委員長 その黒崎教会は、今の時点で35の中に入っているんですか。
63
島崎世界遺産推進室長 黒崎教会でございますが、黒崎教会単体としては候補としては入っておりません。
外海地区の全体の
文化的景観というのが
構成資産の候補としては入っております。
以上でございます。
64 筒井正興委員 先ほど東委員の質問に対して罰則等のことを言われていましたけど、例えば、
外海地区とか、これからつくっていくところに関しては、そういう規制とか、それに従わないところに対しての罰則等というのはわかりますけど、ただ現在、一番私が心配するというかな、思っているのは、二十六聖人のところの景観等なんですよね。それは大浦地区も含めてそうなんですけど、現在、もう既にできているところに対してそういう罰則の適用ができるのか、それともう1つ、二十六聖人あたりには、例えば、大人のおもちゃ屋とか、いろんなものがすぐ近くにありますよね。そういったところの撤去とか、そういったものをそういう罰則に当てはめることができるのか。僕は既存の施設に関しては非常に難しいと思うんですよ。だから、そういうものに対してのタイム
スケジュールに合わせたところのものが果たしてこれから進めていけるのか、住民、要するにそういうところを持っている住民との合意形成ができるのかどうか、そういうところはどういうふうに思われますか。
65
前田哲也委員長 既存不適格に対する考え方だと思いますので。
66
新井まちづくり推進室主幹 景観計画をまだ定めていなくて、そこに既存の建物が建って、後で
景観計画を定める。そういったところの既存物が新しい
景観計画での基準に適合していない。そういった場合の取り扱いでございますが、景観法では、そういったところの既存不適格については罰則規定はございません。
あとこれをさらに進めて、先ほど少しご紹介しました
景観地区に指定されますと、これは多分究極の話というふうになるだろうと思いますけれども、そういう景観に著しく不つり合いな既存の建物がある場合、これは議会の同意を得て、例えば予算措置など、そういった議会の同意を得た場合に限り、そういう変更命令ができるということになっております。その変更命令に従わない場合は、ある程度の罰則が科せられるというふうなことは、法には書いております。
ただ、著しくそういう景観にそぐうのかそぐわないのか、そういったものについては、個別に判断していく必要があるかと思っております。
また、先ほどおっしゃられたおもちゃ屋さんとか、そういった業についてでございますが、業についての、こういうものはしたらだめであるとか、そういったものは
景観計画の中ではなかなか定められません。
都市計画法でいう用途地域、そういったものの中で用途の制限というのがありますけれども、こういった地域のところでそういった用途の制限がなされるかというと、なかなか難しいと思っております。
以上でございます。
67
前田哲也委員長 主幹、すみません。結論的な変更命令の話が出ましたけど、その施策に対して誘導するために、今までも別の地域とかでそういう事業とかいう形で行政がサポート、支援するといったことも事例としてはあったんじゃないですかね。それの説明は特段されないんですか。
68
新井まちづくり推進室主幹 既存に対する誘導というのは、多分ないだろうと思います。
あと誘導というよりも、例えば、東山手・南山手
景観形成地区でも既存不適格のところがございます。こういったものについても、将来的には建て替えのときにそういう規制基準にしていただくように、そういうふうなお願いをして設定はされております。
以上でございます。
69 久 八寸志委員 1つだけ。大浦のゾーンの中に市民病院が入っているんですけれども、この市民病院に対して何かお考えはありますでしょうか。
70
前田哲也委員長 暫時休憩します。
=休憩 午前11時58分=
=再開 午前11時59分=
71
前田哲也委員長 再開いたします。
72
新井まちづくり推進室主幹 当該地区は大浦Aゾーンというところで
景観形成地区の基準をつくられております。当該地の基準といたしましては、高さが30メートルというところで、30メートル以下にしなさいよということで設定されております。
市民病院の計画自体が30メートル以下というふうな建て方をするということで聞き及んでおりますので、基準的にはそういったことで満たされると思っております。
また、こういう地区に30メートル以下にするという考えについては、当時は例えば、いろいろな視点からの見え方、そういったものでこういう地区は30メートル以下にするであるとか、あるいは
大浦天主堂と活水のほう、そういった見え方についても一つの考え方として30メートルに抑えたらいいんじゃないかと、そういうふうな議論が地元の方々となされ、30メートルというふうな規制内容に決められたというふうな経緯を聞いておりますので、一定、そういう景観的には守られているかと思っております。
以上です。
73
前田哲也委員長 そのほかございませんか。
それでは、以上で質疑を終結します。
〔次回委員会について協議を行い、7月4日に
平戸地区の行政視察を行うことに決定した。〕
74
前田哲也委員長 そのほか、よろしいですか。
ないようでしたら、これをもちまして
世界遺産推進特別委員会を閉会いたします。
=閉会 午後0時1分=
上記のとおり委員会会議録を調製し署名する。
平成20年7月24日
世界遺産推進特別委員長 前田 哲也
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